pull the wool over one’s eyes
この記事では”pull the wool over one’s eyes“という表現を解説します。
意味、語源、例文までしっかり説明しますので、最後までご覧いただけると幸いです。
“pull the wool over one’s eyes”の意味
「~をだます」「~を欺(あざむ)く」という意味です。
簡単な単語なら、deceiveと同じ意味です。普段はdeceiveを使う方が無難です。
woolは「羊毛、毛織物」という意味です。日本語でもウールと呼ぶのでご存じの方は多いと思います。
pullは引く、引っ張るといった意味です。これは大丈夫でしょう。
over one’s eyesで 「~の目の上に」と言う意味です。これも問題ないですね。
直接関係はないですが、pull overで「(車を)路肩に止める」と言う意味のフレーズがあります。これも知っておくと便利ですね。
“pull the wool over one’s eyes” を訳すと「毛織物を目の上に引く」といった訳になってしまいます。
これがなぜ「だます」になるのでしょうか。詳しくは「語源」のところで説明しますね。
例文
The celebrity pulled the wool over our eyes.
その芸能人は私たちを騙した。

複数人思い浮かぶ例文にしてみました(笑)
詳しい語源
単語を細かく見ていきましょう。
イギリスでは、羊毛生産が盛んでした。
世界史を勉強されていた方はご存知かもしれませんが、イギリス東部には「ヨークシャー」と呼ばれる羊の飼育が盛んな地域があります。
産業革命の前の17、18世紀のイギリスでは、富裕層が毛織物のウィッグ(要はカツラ)を好んで着用していました。
とても大きいカツラなので、カツラで目の上まで隠れているような状態がよくあったそうです。

特に司法では、カツラが正装となっていました。(今でも一部の裁判では裁判官が伝統としてカツラを被っています)
そんなカツラを被っている司法の人たちも、完全ではありません。目の上にまでかかった(毛織物の)カツラを通して物事を見ても、時には騙されます。
そんな様子を”pull the wool over one’s eyes”で「だます」と表現したわけですね。
ちなみにイギリスでは、17、18世紀にカツラを着けていたのですが、このフレーズができたのは19世紀のアメリカと言われています。
アメリカ人がイギリス人を揶揄する意図もあったのかもしれませんね。
ちなみに、英語文献をいくつか調べたところ、他にも説がありましたが、この説が主流なようです。
まとめ
この記事では”pull the wool over one”s eyes”の意味と語源について説明しました。
長くて難しそうなフレーズがすごく簡単な意味なのはある意味英語らしいですね。