行政書士試験の中では民法が最も範囲が広く、難易度が高い分野です。
複雑な条文や、細かい規定などが多く、多くの方が困ってしまいます。
しかし、出題数も多いため、安易に捨てるのは現実的ではありません。
また、記述問題も出題されますので、民法を勉強しておくことで合格率がかなり上がります。
そこで、今回は行政書士試験に半年で独学で合格した筆者が、行政書士試験の民法の対策や覚え方を解説します。
行政書士試験の民法が難しい理由
行政書士試験の民法を攻略していくうえで、何が難しいかを考えてみましょう。
単純に量が多い
民法は1000条以上あり、規定がとても多い法律です。行政手続法と行政事件訴訟法が46条ずつですから、いかに多いかが分かります。
細かい規定が多い
民法は細かい規定が多いのも特徴です。
「~ならば」「~のとき」「~を除いて」などの規定が多くあります。
それもしっかり覚える必要があるので、大変に感じてしまいます。
例えば、民法95条を見てみましょう。
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
たくさん規定がありますね。こういった規定を整理してしっかり覚えていかなければなりません。
ややこしい話が多い
抵当権を始めとする物件の変動は非常にややこしいです。
合格者でもちゃんと理解している人は少ないでしょう。
登記がなくても対抗できるか、などは細かいケースがあり、理屈だけで覚えるのも難しいです。
行政書士試験の民法の対策
条件や例外を意識する
「~のとき」「~の場合は」「~を除いて」などの条件や例外の規定は問題が作りやすいです。
出題されやすいので、意識して覚えておきましょう。
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(例外)については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において(条件)、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
判例をしっかり覚える
民法で重要なのは判例です。細かい部分はそれほど重要ではないので、「こういうケースでこういう判決が出た」ということを覚えておきましょう。
図を描いて整理
物権変動など、問題文がややこしい場合は状況を整理して図にしておくことが大切です。
満点は狙わない
民法で満点を取る必要はありません。特に物権変動の複雑な問題は1,2問間違えるものだと思って取り組みましょう。
ただ、難しいからといってあまり簡単に問題を捨てていくと苦しくなります。
問題演習の際は間違った問題をしっかり復習してくださいね。
行政書士試験の民法の覚え方
行政書士試験での民法の覚え方を紹介します。
覚え方は人それぞれなので、あくまで参考程度に考えてください。
覚える語句をまとめる
ノートやプリントなどに覚える語句をまとめておいて、何回も目を通すことで効率よく覚えることができます。
判例の結果だけ覚える
判例は結果だけまず覚えてしまいましょう。もちろん判決要旨もしっかり覚えられればいいですが、余力がない場合は結果だけ覚えてしまいましょう。
間違いの復習を何回も
間違えた問題は自分にとって覚えにくかったり、うろ覚えのところが多いです。
間違えた問題は復習してもまた忘れてしまう可能性が高いので、何回も復習してしっかり定着させましょう。
まとめ
今回は行政書士試験の民法の覚え方や対策を紹介しました。
行政書士試験の民法は難しい上に、量も多いので大変です。
しかし、覚え方を工夫したり、覚えるポイントを絞ることで、多少勉強しやすくなります。
大変な道のりではありますが、一つ一つ丁寧に学習していきましょう。