行政書士試験で鬼門となっているのが、記述試験対策です。
行政書士試験の記述式の問題は、出題予想が難しく、また採点基準も厳しめであるため、多くの受験生にとって頭を悩ませる存在です。
筆者も、記述式問題に苦労した一人です。
そこで、今回は行政書士試験合格者の筆者が、実体験を踏まえて、行政書士試験の記述試験の対策について書いていきます。
行政書士試験の記述式の概要
行政法から1問、民法から2問出題されます。字数は全て40字程度です。
民法の過去問を掲載しておきます。
Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与
令和4年度行政書士試験問題45
えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の
本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに
対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒み
たいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否に
つき理由を付して 40 字程度で記述しなさい。
配点
全300点中60点分なので、それほど多くはありません。しかし、ある程度の点数を取らないと選択式問題で高得点が求められます。そのため、「捨てる」というのはあまり現実的ではありません。
採点基準
1問20点で採点されます。模範解答とかなり近い解答をすることが求められます。
記述問題には部分点がありますが、「部分点はあまり期待できない」または「部分点は期待してはいけない」と思われます。
実際、筆者が受けた際、「内容は合っているが書き方が微妙に違う」解答をしたものがほとんど点になっていませんでした。
予備校の問題集や模試の採点基準は本番よりも甘めだと考えるべきですね
選択式問題が難しめの年は採点が甘くなるというウワサがありますが、真偽は不明です。
行政書士試験の記述式問題の対策は??
記述式で問われやすいポイントを押さえる
当たり前ですが、テキストの知識をちゃんと覚える必要があります。
ただ、端から端まできっちり覚えるのは大変です。
記述式で問われやすいポイントがあるので、押さえておくといいでしょう。
これらのポイントは選択式問題でも重要なポイントです
①例外
原則 | 譲渡制限が付された債権の譲渡は有効 |
例外 | 譲渡制限について悪意・重過失の譲受人に対しては履行を拒むことができる |
この場合、例えば「譲渡制限が付されていた債権が譲渡された。譲受人に履行を拒める時はどんな時か」といった問題が作りやすいわけです。
「原則」に対する「例外」は非常に出題しやすいので、意識して覚えておきましょう。
②条件
「~となる場合の条件」「~のとき~できる」といったものです。
これも出題しやすい内容です。
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
民法95条
この場合は「一、二のどれかに当てはまって、なおかつ法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであれば(条件)取り消すことができる」といっています。
③抗告訴訟は要注意
抗告訴訟は行政法で特に出やすい分野です。
「取消訴訟」、「無効等確認の訴え」、「不作為の違法確認の訴え」、「義務付けの訴え」、「差止めの訴え」の5つがありますが、全て整理して覚えておく必要があります。
過去問や問題集で記述式の問題のパターンをつかんでおく
過去問や問題集で記述問題のパターンを掴んでおくことが大切です。
過去問と同じ内容の問題もたまに出ているので、できる限りやっておいた方が無難です。
もちろん、過去問以外の問題集もきっちりやっておいた方がいいでしょう。
筆者が使っていたおすすめ教材を紹介しておきます。「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集 」は過去問やオリジナル問題が多数掲載されており、丁寧な解説もあり、定評がある問題集です。
いつから記述式問題の対策を始めればいいの?
11月試験なので、8、9月頭ごろには始めましょう。
「早く始めればいい」かというとそうではありません。
選択式にしても記述式にしても、「知識をしっかり定着させる」ことが基本です。
基本をおろそかにしないようにしましょう。
選択式で高得点を狙うのが基本戦術
行政書士試験の記述式問題の対策についての記事ですが、結局は選択式問題で稼ぐことが基本です。
記述式は、若干運の要素が強いため、対策したからといって高得点が保障されるものではありません。
また、選択式問題で一定点数を取らなければ採点すらされません。
行政書士試験はトータル180点取れば合格なので、記述は0点でも受かるチャンスがあります。
あまり記述式問題に固執しすぎると、かえって足元を掬われる可能性があります。
まとめ
今回は行政書士試験の記述式問題の対策を紹介しました。
行政書士試験合格には、記述式問題で最低限の点数を取れるようにしておくことが大切です。
本記事を行政書士試験対策に役立ててくださいね。